イラク新法の強行成立に対する抗議決議

 去る7月26日未明、参議院本会議は、小泉内閣が強引に国会会期を延長させ上程した、自衛隊をイラクに派兵するイラク新法(「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案」)を強行成立させた。同法は、「人道支援」に名を借りて、軍隊である自衛隊をイラクへ派兵するという、あきらかに憲法違反の法律である。
 この米英によるイラク戦争は、国連決議もなく行われたものであり、明らかに国連 憲章や国際法に違反する侵略戦争であった。イラク新法の「目的」が、あたかも国連決議678号、687号および1441号に基づいているとされているが、これらの決議は、なんら米英の武力攻撃を正当化するものではない。 だからこそ、米国は新決議を追求したのである。
 日本政府はまったくごまかしの法律をつくったと断ぜざるを得ない。イラク戦争が なんら正当性がないのと同様、このイラク新法も国際法や国連憲章に違反するものであり、これだけでも法的正当性もなく廃棄されるのが当然である。また、米軍現地司令官は、「イラク全土はまだ戦闘状態にある」と述べている。政府の言う「非戦闘地域」での活動など、到底あり得るわけはない。
 同法成立後、今秋にも1,000人規模の自衛隊を派兵するとしているが、政府や防衛庁がどうとり繕うとも、米軍の指揮下に入り、占領軍の一員となり、自衛隊が海外で他国の人間を殺し、また自衛官が戦闘の中で死ぬことが本当に起こりうる。
 私たちは、米英軍の侵略後、イラク国民がきわめて困窮した状態に陥っていることから、復興は必要とは考える。しかし、それは軍事ではなく、現在もNGO等が行っている取り組みの協力などの方法でなければならない。米英軍の占領支援ではなく、戦争で破壊されたイラク国民の生活と自立を助けることである。
 米国の戦争の大儀とした「大量破壊兵器」も米国のねつ造であったことが明らかにされつつある。 戦争はすべてを破壊しつくす。平和センターは、小泉内閣および自民・公明・保守新の与党によるイラク新法の強行成立に強く抗議し、沖縄戦の歴史的体験から私たちはすべての戦争政策に今後も断固反対し、当面、同法および有事関連法等の廃棄をめざし、軍事によらない平和的な復興支援と外交努力を強く要求しながら運動を継続していく。

2003年7月29日

沖縄平和運動センター第12回定期総会
 






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